Nature ハイライト
進化生物学:違っている理由
Nature 503, 7474
自然選択は至る所で起こっており情け容赦がないが、それでもなお、集団内で多様性が維持されているのはどういう仕組みによるのだろうか。進化生物学が抱えるこの難問に、K Hughesたちがグッピー(Poecilia reticulata)を使った研究で答えを出した。グッピーは、雄の体色が生物の既知の形質の中で遺伝学的に最も変動の大きいものの1つであるため、特に有用なモデル系である。これまでの研究で、色鮮やかなグッピーの個体群では、予想に反して、希少な体色パターンの雄が盛んに繁殖できる傾向のあることが分かっている。著者たちは入念に管理した野生個体群を用いて、雌のグッピーがそうした希少な体色パターンの雄と好んで交尾するばかりか、そうした雄の方が、ありふれた模様の雄よりも多くの仔を残すことを明らかにした。負の頻度依存選択として知られるこの現象は、排他性にはコストがかかることを明らかにし、集団内の多様性を維持する機構を示している。
2013年11月7日号の Nature ハイライト
気候:気候強制力は自然起源と人為起源のエアロゾルのどちらが大きいか
神経科学:課題に関係した感覚入力を選択して統合する機構
構造生物学:ドーパミン輸送タンパク質の構造
ナノテクノロジー:新しいタイプの粒子加速器
応用物理学:自己組織化するマイクロロボットを目指して
化学:コロイドを使った磁場のマジック
進化生物学:違っている理由
神経科学:活動依存的なニューロン活性
細胞生物学:筋ジストロフィーにおけるジストログリカンの役割