Nature ハイライト
Cover Story:ゆったり進化する生きもの:進化速度が最も遅い脊椎動物ゾウギンザメのゲノム塩基配列
Nature 505, 7482
ゾウギンザメ(Callorhinchus milii)は、オーストラリア南部およびニュージーランドの沖の温水海域だけに生息する軟骨魚類で、深さ200~500 m付近で暮らし、春には繁殖のために浅瀬に移動する。今回、ゾウギンザメのゲノム塩基配列が解読された。他の脊椎動物ゲノムとの比較により、このゲノムの進化速度が、シーラカンスを含めた既知の脊椎動物の中で最も遅いことが明らかになった。またゲノム解析によって、CD4受容体やそれに関連するサイトカイン類の一部を欠いた独特な適応免疫系の存在が明らかになり、軟骨魚類が始原的な顎口類適応免疫系を持つことが示された。分泌性カルシウム結合リン酸化タンパク質をコードする遺伝子が存在しないことも分かったが、これは軟骨魚類に骨が存在しないことと一致している。(Article p.174)
2014年1月9日号の Nature ハイライト
老化:老化の仕方は種によってさまざま
材料:グラフェン膜の新たな作製法
電気化学:流動電池とともに歩む
化学:複雑な有機合成のための新たな代替案
海洋:高速拡大海嶺における地殻形成
構造生物学:HIV-1 Vifタンパク質の作用機序
構造生物学:HIV-1 vs 制限因子SAMHD1
生物工学:褐藻類をバイオ燃料原料にする方法
構造生物学:より小さい結晶からタンパク質構造を決定する