Nature ハイライト
血管生物学:神経活動に応じた血流量の変化
Nature 508, 7494
脳の血流動態が神経活動と関連することは以前から知られており、BOLD(血中酸素濃度依存性)機能的画像化法の基盤となっている。しかし、このような血流量の変化をもたらす機構については、まだ意見の一致が得られていない。今回D Attwellたちは、ニューロンの活動が周皮細胞の過分極を引き起こし、それによって細胞が弛緩して毛細血管の拡張が起こる仕組みを明らかにした。毛細血管の拡張は神経活動に関連する血流量増加の84%を担っており、従って、虚血の際に周皮細胞が死んで毛細血管の不可逆的な閉塞が起これば、血液脳関門を傷害して脳損傷を悪化させる可能性がある。こうした病的状態での周皮細胞の死は、グルタミン酸受容体の関わるシグナル伝達を抑制すれば減らすことができる。この研究は、周皮細胞が脳血流量の主要な調節因子であり、BOLD画像化シグナルを発動していることを示唆している。
2014年4月3日号の Nature ハイライト
血管生物学:神経活動に応じた血流量の変化
構造生物学:細菌毒性因子Tcの構造
分子生物学:Poly(A)尾部と翻訳制御
宇宙:ちっぽけなカリクロでも自身の環系を持っている
分子物理学:分子を極低温に冷却する
光物性:高エネルギー光子に注目
地球物理学:新しい月の年代決定
細胞:ヒト繊維芽細胞から作製された肝細胞
がん:急性リンパ芽球性白血病での染色体粉砕
免疫:ビタミンAは仔の免疫に必要とされる