Nature ハイライト
細胞:ヒト繊維芽細胞から作製された肝細胞
Nature 508, 7494
これまでの研究で、ヒトの胚性および誘導多能性幹(iPS)細胞から肝臓細胞を作製したことが報告されているが、そうした細胞を用いて肝臓組織を再生させる試みには、移植細胞が増殖しないことが障害となってきた。今回H Willenbringたちは新しい戦略を取り、ヒト繊維芽細胞を成熟肝細胞に変換させて、マウスの肝臓を再生させた。この方法では、ヒト繊維芽細胞を誘導万能性状態(induced pluripotent state)まで到達させず、誘導多能性前駆細胞(iMPC;induced multipotent progenitor cell)状態に再プログラム化する。著者たちは、iMPCから、内胚葉前駆細胞(iMPC-EPC)を得て、移植後に成熟して増殖できる代理肝細胞を作製した。この研究は、in vitroで作製されたヒト肝細胞によるマウス肝臓の顕著な再生が実現可能であることを実証しており、この系がヒト肝疾患の自家治療の研究モデルとして有望であることを示している。
2014年4月3日号の Nature ハイライト
血管生物学:神経活動に応じた血流量の変化
構造生物学:細菌毒性因子Tcの構造
分子生物学:Poly(A)尾部と翻訳制御
宇宙:ちっぽけなカリクロでも自身の環系を持っている
分子物理学:分子を極低温に冷却する
光物性:高エネルギー光子に注目
地球物理学:新しい月の年代決定
細胞:ヒト繊維芽細胞から作製された肝細胞
がん:急性リンパ芽球性白血病での染色体粉砕
免疫:ビタミンAは仔の免疫に必要とされる