Nature ハイライト

分子生物学:Poly(A)尾部と翻訳制御

Nature 508, 7494

真核生物のメッセンジャーRNA(mRNA)の大半には、その3′非翻訳領域の下流に、翻訳の鋳型とならないポリ(A)尾部が存在する。この尾部は、転写産物を分解から保護することでその安定化に役立ち、また、mRNAの細胞質への輸送を促進している。D Bartelたちは、酵母、植物、脊椎動物および哺乳類に由来する数百万個のRNAの塩基配列を解読し、そのデータからポリ(A)尾部の長さを測定した。カエルとゼブラフィッシュの胚では、尾部の長さと翻訳効率が結び付いていたが、胚以外の細胞ではこのような結び付きが見られなかった。発生期に起こるこの切り替えは、マイクロRNAによる調節が翻訳抑制からmRNA分解へ変化するという観察結果の説明になると考えられる。今回使われた、ポリ(A)尾部の長さを単一mRNAレベルの分解能で測定する技術は、この種の翻訳制御に関する重要な情報をもたらすだろう。

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