Nature ハイライト
物理化学:遷移金属化合物における3d励起の追跡
Nature 509, 7500
3d遷移金属錯体による光エネルギーの吸収と散逸は、太陽エネルギーを利用する光合成や多数の人工的な系で重要な役割を果たしているが、この複雑な現象を詳細に理解することはいまだに困難である。今回、W Zhangたちは、フェムト秒分解能のX線蛍光分光法によって、関与する励起状態のダイナミクスを調べる既存の方法の限界を克服できることを示している。このことが、典型的な鉄錯体を例にとって示され、光励起によって引き起こされた電荷・スピンダイナミクスの追跡によって、その脱励起過程で中間スピン状態が基本的に重要な役割を果たすことが立証された。著者たちは、この方法によって最終的には、3d遷移金属錯体が関与する、光が引き起こす多くの有用な分子現象の基礎となる基本過程を詳細にマッピングし、従って解明することが可能になると予想している。
2014年5月15日号の Nature ハイライト
合成化学:新しい含窒素天然物の合成
神経科学:子育て行動を制御するニューロン群
神経科学:網膜の方向検出
細胞:心臓再生でのc-kitの役割は小さい
宇宙:銀河系の広がった外部フレア円盤に見つかった若いケフェイド
物理化学:遷移金属化合物における3d励起の追跡
気候科学:極方向へ押し出される熱帯低気圧
免疫:細菌 vs 自然免疫系
合成生物学:拡張された遺伝アルファベットを用いる細菌