Nature ハイライト
合成生物学:拡張された遺伝アルファベットを用いる細菌
Nature 509, 7500
遺伝暗号は単純で、4つの塩基からなるA–TとG–Cという2つの塩基対が、全ての生物で使われている。非天然型のヌクレオチドや塩基対を組み込んでこの暗号を拡張することは、合成生物学の目標だった。それが実現すれば、目的に合わせて生物を作りかえる道が開かれるからである。この目標は、in vitroでは原理証明実験により達成されたが、拡張された暗号の安定した伝播は、in vivoではこれまで実証されていなかった。今回F Romesbergたちは、外来性の藻類ヌクレオチド三リン酸輸送体を発現する大腸菌(Escherichia coli)が増殖中の培地に2種の疎水性ヌクレオチドd5SICSTPとdNaMTPを添加しても、これらのヌクレオチドがゲノムに組み込まれるらしく、修復経路によって損傷として認識されないことの証拠を示した。従って、これらの非天然型塩基対を含むDNAは複製され、細胞の増殖が大きな影響を受けることはないといえる。
2014年5月15日号の Nature ハイライト
合成化学:新しい含窒素天然物の合成
神経科学:子育て行動を制御するニューロン群
神経科学:網膜の方向検出
細胞:心臓再生でのc-kitの役割は小さい
宇宙:銀河系の広がった外部フレア円盤に見つかった若いケフェイド
物理化学:遷移金属化合物における3d励起の追跡
気候科学:極方向へ押し出される熱帯低気圧
免疫:細菌 vs 自然免疫系
合成生物学:拡張された遺伝アルファベットを用いる細菌