Nature ハイライト
植物科学:ユーカリのゲノム塩基配列解読
Nature 510, 7505
成長の速いユーカリの木は、世界の紙パルプ・化学セルロース産業を支えており、将来的にはバイオエネルギーやバイオマテリアルのバイオマス原料にもなると考えられている。今回、ユーカリの一種であるローズガム(Eucalyptus grandis)のゲノム塩基配列が解読された。その配列には、これまでに解読された植物ゲノムでは最多となる数の縦列重複が含まれており、また、化学的防御物質として機能し、独特な薬用精油の原料にもなる、特殊化した代謝産物の遺伝子群にも最も高い多様性が見られた。そして、ローズガムの姉妹種であるブルーガム(E. globulus)や他のローズガム系統との比較から、動的なゲノム進化および近交弱勢のホットスポットが明らかになった。包括的なゲノムデータが得られたことは、生産性や木材品質を高めるための育種サイクルの高速化、およびさまざまな環境に適したユーカリ系統の開発に関する研究に役立つと考えられる。
2014年6月19日号の Nature ハイライト
量子物理学:状況に応じた量子計算
植物科学:ユーカリのゲノム塩基配列解読
細胞生物学:遺伝子発現の変動を追跡する
神経科学:パーキンソン病でマイトファジーを治療標的に
物理学:電子間の磁気相互作用
地球科学:シリカは沈み込み帯のゆっくり地震に関連している
生化学:小型の分子が線虫の一種C. elegansの寿命を延ばす仕組み
がん:組織特異的因子群はPTENが関わる白血病に影響を及ぼす
免疫:p110δ阻害剤はTreg活性を抑制する
微生物学:栄養不良への腸内微生物叢の応答