Nature ハイライト
神経科学:パーキンソン病でマイトファジーを治療標的に
Nature 510, 7505
ユビキチンリガーゼであるパーキンとプロテインキナーゼPINK1の2つの酵素は、損傷したミトコンドリアの除去(マイトファジー)に関わっており、これらの酵素の機能喪失変異は家族性パーキンソン病と関連付けられている。今回、ミトコンドリアに局在する脱ユビキチン化酵素USP30が、パーキンによって付けられた「タグ」であるユビキチンを除去して、マイトファジーに対して拮抗的に働くことが示された。USP30の活性を低下させると、ニューロンでのミトコンドリアの分解が促進され、USP30をノックダウンすると、パーキンの病原性変異によって生じたマイトファジー異常が回復する。ショウジョウバエ(Drosophila)モデルでUSP30をノックダウンすると、パーキンあるいはPINK1を欠損したハエでミトコンドリアの完全性と生存率が回復する。従って、USP30の阻害はミトコンドリアの除去と品質管理を促進することでパーキンソン病の治療に役立つ可能性がある。
2014年6月19日号の Nature ハイライト
量子物理学:状況に応じた量子計算
植物科学:ユーカリのゲノム塩基配列解読
細胞生物学:遺伝子発現の変動を追跡する
神経科学:パーキンソン病でマイトファジーを治療標的に
物理学:電子間の磁気相互作用
地球科学:シリカは沈み込み帯のゆっくり地震に関連している
生化学:小型の分子が線虫の一種C. elegansの寿命を延ばす仕組み
がん:組織特異的因子群はPTENが関わる白血病に影響を及ぼす
免疫:p110δ阻害剤はTreg活性を抑制する
微生物学:栄養不良への腸内微生物叢の応答