Nature ハイライト
がん:組織特異的因子群はPTENが関わる白血病に影響を及ぼす
Nature 510, 7505
腫瘍抑制遺伝子PTENの不活性化は、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)シグナル伝達の構成的な活性化を引き起こし、これは白血病などのがんで頻発している変異である。S Loweたちは、RNAiを用いる手法によりT細胞Ptenヌル白血病の新たなマウスモデルを作製した。このモデルでは、in vivoでのPTENの発現をドキシサイクリン添加の有る無しによって条件的に調節できる。このモデルを使って、PTEN欠失は造血器官での腫瘍細胞量にほとんど影響しないが、PTEN再活性化は腫瘍の腸への播種を低減させ、またPTENの欠失はこれを増幅することが分かり、PTENを欠損した条件下での腫瘍微小環境の重要性が実証された。この知見から、腫瘍の治療は、その腫瘍に特異的な遺伝学的構成に対してだけでなく、その微小環境にも合わせて調整しなくてはならないと考えられる。こういう微小環境は、播種の起きる部位によって変化する可能性がある。
2014年6月19日号の Nature ハイライト
量子物理学:状況に応じた量子計算
植物科学:ユーカリのゲノム塩基配列解読
細胞生物学:遺伝子発現の変動を追跡する
神経科学:パーキンソン病でマイトファジーを治療標的に
物理学:電子間の磁気相互作用
地球科学:シリカは沈み込み帯のゆっくり地震に関連している
生化学:小型の分子が線虫の一種C. elegansの寿命を延ばす仕組み
がん:組織特異的因子群はPTENが関わる白血病に影響を及ぼす
免疫:p110δ阻害剤はTreg活性を抑制する
微生物学:栄養不良への腸内微生物叢の応答