Nature ハイライト
構造生物学:HIV-1ウイルスが免疫を回避する際の構造基盤
Nature 514, 7523
ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)Env三量体の新たな結晶構造が、P Kwongたちによって報告された。これは細胞へのウイルス侵入を促進する1型融合装置の一部で、宿主細胞の受容体に結合してウイルス膜を宿主細胞に融合させる。Env三量体は、3つのgp120サブユニットと3つのgp41サブユニットから構成される。今回、3.5 Å分解能で得られたその構造により、Envの融合前の形状が明らかになり、gp41サブユニットの構造が決定された。これによって三量体の働きにより融合が可能となる仕組みや、免疫応答による認識を回避する仕組みについて解明が進んだ。この免疫回避は、有効なHIV-1ワクチンの開発を難しくする大きな要因である。
2014年10月23日号の Nature ハイライト
遺伝学:4万5000年前の現生人類のゲノム
医学:肺疾患の細胞移植治療
構造生物学:HIV-1ウイルスが免疫を回避する際の構造基盤
宇宙:がか座β星に見つかった系外彗星
ナノテクノロジー:単層二硫化モリブデンの圧電性
無機化学:四酸化イリジウムカチオンにおける9価の酸化状態
発生生物学:Hoxと分節化の早期の結び付き
進化遺伝学:南北アメリカ大陸の結核の歴史
免疫学:リンパ節を膨張させる機構
がん:急性リンパ芽球性白血病の標的治療