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進化遺伝学:南北アメリカ大陸の結核の歴史

Nature 514, 7523

南アメリカ南部の沿岸に生息するミナミアメリカオットセイ(<i>Arctocephalus australis</i>)。
南アメリカ南部の沿岸に生息するミナミアメリカオットセイ(Arctocephalus australis)。 | 拡大する

Credit: Ricardo Bastida

結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は、ヒトの病原体として長い歴史を持つが、この不幸な関係がいつどのようにして始まったのかははっきりしていない。現在の南北アメリカ大陸で見られる結核菌株はヨーロッパの結核菌株と近縁だが、考古学的証拠から、新世界ではヨーロッパ人の到来前から結核菌が存在していたことが示唆されている。J Krauseたちは今回、ペルーで見つかった人骨から得た約1000年前の3例の結核菌ゲノムの塩基配列を解読し、ヨーロッパ人の到来前の新世界でも、この菌がヒトの病気の原因になっていたことを明らかにした。この古代のDNAは、アシカ類やアザラシ類に適応した結核菌株に最も近縁だった。著者たちは、これらの海生哺乳類がアフリカで結核菌の宿主である生物種からこの病気に感染し、海を越えてこの病気を運び、南アメリカ沿岸に住む人々に海洋資源として利用されることで、人獣共通感染症として伝播したとする仮説を立てている。その後、この結核菌株はヒトに適応したと考えられるが、やがてヨーロッパ人の到来で持ち込まれた菌株に取って代わられたのだろう。

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