Nature ハイライト
発生生物学:Hoxと分節化の早期の結び付き
Nature 514, 7523
発生中の顎口類(有顎脊椎動物)の頭部では、入れ子状のHox発現領域が、後脳の分節構造である菱脳分節と関連している。入れ子状のHoxの発現領域は、脊椎動物ではない脊索動物(ナメクジウオなど)でも見られるが、これらの動物の神経系領域は単純で分節化されておらず、顎口類の脳と関連付けることが難しいために、その入れ子状Hoxの発現領域と脳のパターン形成との関係性についてはよく分かっていない。また、無顎類(無顎脊椎動物)についても状況は不明である。これらの生物では脳の領域化とHoxの発現の間に明確な対応はないだろうと考えられているが、今回R Krumlaufたちは、ヤツメウナギにおけるHoxの発現と後脳分節化の連携を示しただけでなく、こうした対応が進化的に古く、精密なものであることを報告している。これらの結果は、Hoxの発現と後脳分節化の結び付きが、脊椎動物系統樹の基部に起源を持つ古い形質であることを示唆している。
2014年10月23日号の Nature ハイライト
遺伝学:4万5000年前の現生人類のゲノム
医学:肺疾患の細胞移植治療
構造生物学:HIV-1ウイルスが免疫を回避する際の構造基盤
宇宙:がか座β星に見つかった系外彗星
ナノテクノロジー:単層二硫化モリブデンの圧電性
無機化学:四酸化イリジウムカチオンにおける9価の酸化状態
発生生物学:Hoxと分節化の早期の結び付き
進化遺伝学:南北アメリカ大陸の結核の歴史
免疫学:リンパ節を膨張させる機構
がん:急性リンパ芽球性白血病の標的治療