Nature ハイライト

Cover Story:全速前進:プラズマ航跡場加速器は未来の粒子加速器になるか?

Nature 515, 7525

SLAC FACETのビームラインに設置された長さ36 cmのプラズマ航跡場加速器チャンバー(画像中央の金属の箱)。
SLAC FACETのビームラインに設置された長さ36 cmのプラズマ航跡場加速器チャンバー(画像中央の金属の箱)。 | 拡大する

Credit: SLAC National Accelerator Laboratory

表紙は高効率プラズマ航跡場加速器を模した図である。電子バンチが2つある構造の電子ビームがプラズマ中を左上から右下へ進んで行く。電波が発生する電場を使って高エネルギーフロンティアで作動する加速器は、サイズとコストの点で実現可能性の限界に近づいているが、もっと安価でコンパクトな加速装置を作製できる可能性のある加速技術が存在する。それがプラズマ航跡場加速器で、この加速器では、電子バンチを他の電子バンチによって励起されたプラズマ波の上で「サーフィン」させることによって電子バンチが加速され、ほんの数センチメートルでギガ電子ボルト領域のエネルギー利得が可能になる。これには、従来の加速器では数百メートルを要する。しかしこれまで、この技術を使って一度に加速された電子の数は非常に少なかった。今回、米国SLAC国立加速器研究所FACET(Facility for Advanced Accelerator Experimental Tests)の研究者たちがプラズマ加速器を使い、1回にほぼ5億個の電子をこれまでになかった高効率で加速するのに成功したことが報告された。これは、高エネルギー物理学から医療や工業用の応用までが考えられる、手頃な値段のコンパクトな加速器の開発における画期的な成果である。

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