Nature ハイライト
宇宙物理学:熱くなったり冷えたりする銀河団
Nature 515, 7525
多数の明るい銀河団の中心部にある銀河団媒質(ICM)を構成する高温ガスが急速に冷やされていることは、強力なX線放射によって示唆されている。冷却は非常に急速なので、低温ガスの大量の蓄積と活発な星形成が生じているはずだが、この推測は観測結果とは一致しない。今回、この「冷却流の問題」について、中心部の超大質量ブラックホールからどのようにしてエネルギーが輸送されるのか、その仕組みと考えられるものが報告された。I Zhuravlevaたちは、ペルセウス座銀河団とおとめ座銀河団から得たX線データを報告し、新たなデータ解析法を使って、乱流の散逸からICM加熱速度を見積もった。その結果、乱流加熱が放射冷却を相殺するのに十分な大きさであり、各範囲内で局所的に放射冷却と釣り合っているように見えることが分かった。
2014年11月6日号の Nature ハイライト
進化生物学:細菌細胞は進化のために個体性を捨てる
構造生物学:哺乳類電子伝達系複合体Iの構造
宇宙物理学:熱くなったり冷えたりする銀河団
宇宙物理学:磁場を持った白色矮星では冷却が減速する
オプトロニクス:溶液から作製した効率の良い発光ダイオード
有機化学:新しい不斉光触媒
生態学:植物の共存共栄
発生生物学:胚の細胞が連携する仕組み
がん:CCL2/インターロイキン6阻害薬の抗がん作用