Nature ハイライト
がん:CCL2/インターロイキン6阻害薬の抗がん作用
Nature 515, 7525
炎症性単球は、CCL2などのサイトカインを分泌して浸潤し、転移性腫瘍の増殖を促進することがすでに明らかになっている。この知見に基づいて、CCL2の中和、あるいはその受容体CCR2の阻害が治療に有効となる可能性が報告されている。しかしL Bonapaceたちは今回、乳がんのマウスモデルを使い、抗CCL2療法の中断が治療効果を損なうだけでなく、無治療の場合に比べて肺で転移性腫瘍の増殖を加速し、マウスの死を早めることを明らかにした。これは、骨髄単球の急激な動員と、肺の転移環境におけるインターロイキン6依存性の血管新生増加に起因する。これらの知見は、抗CCL2薬のみを用いた単独療法について注意が必要であることを示しているが、一方で著者たちは、抗CCL2療法と抗インターロイキン6療法の併用が、マウスモデルで転移の減少と生存率の向上をもたらすことも実証している。
2014年11月6日号の Nature ハイライト
進化生物学:細菌細胞は進化のために個体性を捨てる
構造生物学:哺乳類電子伝達系複合体Iの構造
宇宙物理学:熱くなったり冷えたりする銀河団
宇宙物理学:磁場を持った白色矮星では冷却が減速する
オプトロニクス:溶液から作製した効率の良い発光ダイオード
有機化学:新しい不斉光触媒
生態学:植物の共存共栄
発生生物学:胚の細胞が連携する仕組み
がん:CCL2/インターロイキン6阻害薬の抗がん作用