Nature ハイライト
生物地球化学:農業の発展が大気中CO2の季節変動を増大させる
Nature 515, 7527
大気中CO2の記録は季節サイクルを示し、これは陸域植生によるCO2の吸収量の季節変動を反映している。この季節サイクルの振幅は過去50年間にわたって増大しているが、その理由は今のところ十分に説明できていない。今回2つのグループが、大気中CO2の季節振幅増大に農業の集約化が大きく関わっていた可能性を明らかにした。N Zengたちは、VEGAS陸域生物圏モデルを用いて、1961~2010年の全球の正味の地表炭素フラックスの振幅の増大に対する寄与は、中緯度域の農業生産性の増加が45%であったのに対して、気候変動が29%、CO2の肥沃化が26%であったことを示している。J Grayたちは、国連食糧農業機関の穀物生産統計と炭素収支モデルを用いて、観測された大気中CO2の季節変化の4分の1が穀物(主にとうもろこし、小麦、米、大豆)の生産性向上によって説明できることを示している。こうした研究結果は、全球炭素循環の理解を深めるのに役立つと考えられ、大規模な生物圏–大気相互作用の変化に与えるヒトの活動の影響の大きさを明らかにしている。
2014年11月20日号の Nature ハイライト
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