Nature ハイライト
生化学:「両手利きの」リボザイム
Nature 515, 7527
ホモキラリティーは生命体の必要条件の1つであり、生体高分子が効率的に相互作用するためには、同じ立体化学的な対掌性、いわば「利き手」を持たなければならないと広く考えられている。1984年にG Joyceは、L Orgelたちとの共同研究でこの考え方を拡大し、RNAの鋳型重合はホモキラルな系では容易に起こるがラセミ混合物では起こらないことから、ホモキラリティーが生命の起源に不可欠である可能性を示唆した。今回、G Joyceと共著者のJ Sczepanskiは、逆のキラリティーを持つRNAが一緒に機能できることを示した。彼らは、L型RNA鋳型上でL型RNAの重合を触媒するD型RNA酵素、あるいはその逆の酵素を考案した。このリボザイムの触媒能だけで、逆のキラリティーを持つ11種類のオリゴヌクレオチドから自身の鏡像異性体を合成することができる。このリボザイムは、ワトソン・クリック型の塩基対形成ではなく、三次元構造を介した接触により基質と相互作用すると考えられる。この意外な知見によって、生命体が「RNAワールド」に出現した仕組みに関する仮説に新しい見方が加わることになるだろう。
2014年11月20日号の Nature ハイライト
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