Nature ハイライト
Cover Story:タイタンの砂:土星の最大の衛星で地球のものに似た砂丘を形成するには大きな風速が必要
Nature 517, 7532
NASAのカッシーニ探査機に搭載されたレーダーマッパーが2008年12月21日に撮影した画像に見られる、土星最大の衛星タイタンの砂丘(画像の上半分)は、2003年のスペースシャトルミッションでクルーが283 kmの高度から撮影した画像STS107-E-5380(下半分)に見られる、アフリカ・ナミブ砂漠のコンセプション湾のものに似ている。カッシーニ探査機は、土星系からデータをまだ送り続けているが、そのミッションでタイタンの表面の広範囲にわたる風成(風によって作られた)砂丘が明らかにされている。D Burrたちは、高圧風洞を使用して、タイタン表面近くの厚い大気をシミュレーションし、低重力、低堆積密度の数値モデリングを行って、タイタン上で砂丘の砂を移動させるのに必要な風の速度を導出した。こうして得られた速度は、地球や火星に対応する条件下での風洞実験に基づく、風による堆積物の巻き込みの現行モデルによる予想よりも大幅に大きい。タイタン上では流体密度に対する粒子密度の比が極端に低いことを考慮に入れれば、実験結果と理論研究は一致するが、この補正は、彗星ジェットのような密度比の高い環境では必要のないものである。
2015年1月1日号の Nature ハイライト
分子生物学:遺伝子調節を助けるリボソームの選択性
構造生物学:リアノジン受容体の構造
天体物理学:恒星内部についての新しい知見
材料化学:関節軟骨を手本にしたヒドロゲル
気候科学:最終氷期における大西洋循環
分子進化学:古細菌の進化には遺伝子の取り込みが重要だった
細胞生物学:出口はこちら
構造生物学:光化学系IIのさらに精確な構造
構造生物学:コレステロール生合成酵素の構造