Nature ハイライト
構造生物学:リアノジン受容体の構造
Nature 517, 7532
筋収縮は、筋細胞細胞質のカルシウムイオン(Ca2+)濃度によって調節されている。リアノジン受容体(RyR)は、筋小胞体からCa2+を放出させて、筋収縮を引き起こす。そして、このようなチャネルの機能不全は筋ジストロフィーなどの重要なヒト疾患の病態生理に関わっている。今回、3つの研究グループが、2.2 MDaという大きさのリアノジン受容体RyR1の低温電子顕微鏡法によって得られた高分解能構造を報告している。R Efremovたちは、ウサギ由来RyR1について、Ca2+存在下の「部分的に開いた」状態の構造を分解能8.5 Åで、Ca2+非存在下の閉じた状態の構造を分解能6.1 Åで明らかにしている。R Zalkたちは、やはりウサギ由来RyR1を使って、Ca2+が存在しない閉じた状態の分解能4.8 Åの構造を報告している。一方、Z Yanたちは修飾因子FKBP12に結合したウサギ由来RyR1の構造を3.8 Åというニア原子分解能で解いた。これらの論文は、RyR1のEFハンドドメインへのカルシウム結合がチャネルの開口を調節し、カルシウム誘発性カルシウム放出を促進する仕組みを明らかにしている。また、疾患の原因となる変異が、正常なチャネル機能に極めて重要と思われるチャネル内領域に集まっていることも報告されている。
2015年1月1日号の Nature ハイライト
分子生物学:遺伝子調節を助けるリボソームの選択性
構造生物学:リアノジン受容体の構造
天体物理学:恒星内部についての新しい知見
材料化学:関節軟骨を手本にしたヒドロゲル
気候科学:最終氷期における大西洋循環
分子進化学:古細菌の進化には遺伝子の取り込みが重要だった
細胞生物学:出口はこちら
構造生物学:光化学系IIのさらに精確な構造
構造生物学:コレステロール生合成酵素の構造