Nature ハイライト
気候科学:最終氷期における大西洋循環
Nature 517, 7532
海洋循環と地域気候の主な制御要因である大西洋の南北方向鉛直循環(AMOC)は、最終氷期極大期以降の寒冷期に大きく弱まった可能性が、これまでの研究で示されている。こうした弱化の規模と期間は、主に、関連する古気候の記録が不十分なためよく分かっていない。J Lippoldたちは今回、14万年前にさかのぼるこの期間について、独立した2つの海洋循環代理指標の包括的なデータセットを提示している。これらの指標は北大西洋深部の堆積物試料から得られた、水塊の化学的トレーサーである。このデータに基づいて気候を再構築すると、AMOCが大きく弱まっていたのは、氷期極大期に最も近い時期に起こったハインリッヒイベント(氷山が大規模に放出された期間)の間だけであったことが分かった。他の期間では、AMOCは極めて安定で、大西洋循環はこれまで考えられていたよりも擾乱に対して強かった可能性が示唆される。
2015年1月1日号の Nature ハイライト
分子生物学:遺伝子調節を助けるリボソームの選択性
構造生物学:リアノジン受容体の構造
天体物理学:恒星内部についての新しい知見
材料化学:関節軟骨を手本にしたヒドロゲル
気候科学:最終氷期における大西洋循環
分子進化学:古細菌の進化には遺伝子の取り込みが重要だった
細胞生物学:出口はこちら
構造生物学:光化学系IIのさらに精確な構造
構造生物学:コレステロール生合成酵素の構造