Nature ハイライト
材料化学:関節軟骨を手本にしたヒドロゲル
Nature 517, 7532
材料設計の分野では、無機フィラーと高分子マトリックスの相互作用を利用した先端的な高分子系複合材料に見られるように、引力相互作用に重点を置くことが圧倒的に多い。だが、静電反発力を活用しても良い結果が得られる。その例の1つが、関節を形成する骨端部を覆う関節軟骨であり、こうした骨端部ではほぼ摩擦のない機械的運動が可能になっている。今回M Liuたちは、関節軟骨を手本にして負に帯電したチタン酸ナノシートを埋め込んだヒドロゲルを開発し、その機械的特性がナノシート間の反発力に支配されることを見いだした。このヒドロゲル複合材料は、シートに対して平行にせん断力を加えると容易に変形するが、垂直方向に加えた圧縮力に対しては変形を起こしにくい。この種の複合材料は、通常とは異なる機能を持つソフトマテリアルの開発に新たな可能性を開くと考えられる。
2015年1月1日号の Nature ハイライト
分子生物学:遺伝子調節を助けるリボソームの選択性
構造生物学:リアノジン受容体の構造
天体物理学:恒星内部についての新しい知見
材料化学:関節軟骨を手本にしたヒドロゲル
気候科学:最終氷期における大西洋循環
分子進化学:古細菌の進化には遺伝子の取り込みが重要だった
細胞生物学:出口はこちら
構造生物学:光化学系IIのさらに精確な構造
構造生物学:コレステロール生合成酵素の構造