Nature ハイライト
構造生物学:コレステロール生合成酵素の構造
Nature 517, 7532
ステロールは、動物、植物、菌類と原核生物の一部に見られ、広範囲にわたる生物学的機能を担っている。動物に最も豊富に存在するステロールはコレステロールで、細胞膜の強度と浸透性の維持に役立っている。コレステロールの合成には多数の膜内在性酵素が必要だが、構造が決定されているものは数個に過ぎない。今回、X Liたちは、メタン酸化細菌であるMethylomicrobium alcaliphilum由来のΔ14-ステロールレダクターゼの2.7 Å分解能でのX線結晶構造を報告している。この酵素は、ヒトのコレステロール生合成経路で特異的な炭素–炭素二重結合を還元するC14SRおよびDHCR7のホモログである。その結晶構造から、細胞質に面していてNADPH結合部位があるポケットと、脂質二重層に面していてステロール結合部位があると考えられるポケットの2つが明らかになり、これらが相互に連結されていることが分かった。この酵素の構造解析から、DHCR7や核内膜のタンパク質であるLBR(Lamin B receptor)の特定の変異がヒト疾患につながる仕組みについての手掛かりが得られる。
2015年1月1日号の Nature ハイライト
分子生物学:遺伝子調節を助けるリボソームの選択性
構造生物学:リアノジン受容体の構造
天体物理学:恒星内部についての新しい知見
材料化学:関節軟骨を手本にしたヒドロゲル
気候科学:最終氷期における大西洋循環
分子進化学:古細菌の進化には遺伝子の取り込みが重要だった
細胞生物学:出口はこちら
構造生物学:光化学系IIのさらに精確な構造
構造生物学:コレステロール生合成酵素の構造