Nature ハイライト
神経科学:コウモリの脳内コンパス
Nature 517, 7533
多くの哺乳類は、空間や距離、境界、頭部方向をそれぞれ符号化する神経細胞が協調して作り上げる正確な三次元空間表現のおかげで、複雑な環境内を自在に移動できる。そのうち、頭部方向細胞(head-direction cell)による定位は重要な要素であるが、このコンパスの実体はよく分かっていなかった。今回A Finkelsteinたちは、食餌探索で飛行中または爬行中の自由に行動するエジプトルーセットオオコウモリの研究から、脳が神経コンパスをどのように符号化しているのかについて新しい手掛かりを得た。脳内の前海馬支脚という領域の神経活動記録から、頭部方向のオイラー角3成分(方位角、仰俯角、回転角)を符号化するニューロンが同定された。これらの頭部方向細胞から得られた活動記録は、2つの円座標変数(方位角と仰俯角)に同調する細胞が、空間定位のトロイダルモデルを描き出していることを示している。
2015年1月8日号の Nature ハイライト
神経科学:コウモリの脳内コンパス
微生物学:酵母を好む腸内細菌
微生物学:グルタチオンシグナルがリステリア菌の病原性を助長する
天文学:S型星における元素合成
量子物理学:6時間を上回る記録を達成した量子もつれ
気候科学:化石燃料と気候温暖化の間の地域的な選択
感染症:腸内細菌がClostridium difficile耐性をもたらす
がん:化学療法耐性におけるがん幹細胞の役割
生物物理学:酵素は反応で放出される熱によって拡散する