Nature ハイライト
生物物理学:酵素は反応で放出される熱によって拡散する
Nature 517, 7533
酵素は、化学的変換反応の活性化エネルギーを低下させることにより、こうした反応を触媒する。単回の触媒事象、つまり1回の触媒回転過程で放出された熱が酵素を阻害するようなことは多少なりともないと、これまで考えられてきた。今回、単一分子蛍光相関分光法を用いて、大きな反応エンタルピーを持つ化学反応を触媒する酵素(例えば、カタラーゼやアルカリホスファターゼ)では、触媒反応中に酵素の活性部位から放出された熱は酵素の質量中心を一時的に移動させ、酵素を移動させるような反動的影響を主として生じさせることが示された。この研究は、触媒反応中に酵素の拡散率が基質依存的に上昇するという最近の知見の説明に役立つ。
2015年1月8日号の Nature ハイライト
神経科学:コウモリの脳内コンパス
微生物学:酵母を好む腸内細菌
微生物学:グルタチオンシグナルがリステリア菌の病原性を助長する
天文学:S型星における元素合成
量子物理学:6時間を上回る記録を達成した量子もつれ
気候科学:化石燃料と気候温暖化の間の地域的な選択
感染症:腸内細菌がClostridium difficile耐性をもたらす
がん:化学療法耐性におけるがん幹細胞の役割
生物物理学:酵素は反応で放出される熱によって拡散する