Nature ハイライト

生物物理学:酵素は反応で放出される熱によって拡散する

Nature 517, 7533

酵素は、化学的変換反応の活性化エネルギーを低下させることにより、こうした反応を触媒する。単回の触媒事象、つまり1回の触媒回転過程で放出された熱が酵素を阻害するようなことは多少なりともないと、これまで考えられてきた。今回、単一分子蛍光相関分光法を用いて、大きな反応エンタルピーを持つ化学反応を触媒する酵素(例えば、カタラーゼやアルカリホスファターゼ)では、触媒反応中に酵素の活性部位から放出された熱は酵素の質量中心を一時的に移動させ、酵素を移動させるような反動的影響を主として生じさせることが示された。この研究は、触媒反応中に酵素の拡散率が基質依存的に上昇するという最近の知見の説明に役立つ。

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