Nature ハイライト
微生物学:グルタチオンシグナルがリステリア菌の病原性を助長する
Nature 517, 7533
細胞内病原体が宿主に定着するには、宿主の環境を感知し、毒性遺伝子の発現を調節できなければならない。例えば、リステリア菌(Listeria monocytogenes)は、宿主細胞に感染する際、マスター毒性調節因子PrfAの活性化により転写プログラムを再構築する。PrfAは、宿主の細胞内環境に固有の小分子活性化因子によってアロステリックに調節されることがこれまでの研究で示唆されていたが、この小分子の正体は明らかになっていなかった。今回、D Portnoyたちは、細菌および宿主に由来するグルタチオンはリステリア菌の病原性に不可欠であるが、これは酸化還元恒常性におけるグルタチオンの標準的な役割を介するものではないことを示した。グルタチオンは、これまでに予測されていたアロステリック調節因子として機能してPrfAを活性化するのである。
2015年1月8日号の Nature ハイライト
神経科学:コウモリの脳内コンパス
微生物学:酵母を好む腸内細菌
微生物学:グルタチオンシグナルがリステリア菌の病原性を助長する
天文学:S型星における元素合成
量子物理学:6時間を上回る記録を達成した量子もつれ
気候科学:化石燃料と気候温暖化の間の地域的な選択
感染症:腸内細菌がClostridium difficile耐性をもたらす
がん:化学療法耐性におけるがん幹細胞の役割
生物物理学:酵素は反応で放出される熱によって拡散する