Nature ハイライト
量子物理学:6時間を上回る記録を達成した量子もつれ
Nature 517, 7533
数百キロメートルを超える量子もつれの配送は、世界規模の量子通信ネットワークに必要であると考えられるが、このような配送は伝送中に蓄積される損失によって妨げられる。十分長寿命の量子もつれが実現できれば、量子情報の記憶を含むリピータープロトコルを使って、この限界は解決できると考えられる。これまでのコヒーレンス時間の最長記録は3時間であり、これはケイ素28中のリンのドナーからなる系で達成されたものである。今回、M Zhongたちはこの記録を破り、6時間のコヒーレンス時間を実現した。これはユウロピウムをドープしたオルトケイ酸イットリウムでの記録で、この材料でのコヒーレンス時間は、これまで数十ミリ秒が限界だった。この系の大きな利点は、関与する遷移が光学的にアドレス可能なことであり、その点でこの発見は長寿命の量子メモリーへの応用が特に期待される。
2015年1月8日号の Nature ハイライト
神経科学:コウモリの脳内コンパス
微生物学:酵母を好む腸内細菌
微生物学:グルタチオンシグナルがリステリア菌の病原性を助長する
天文学:S型星における元素合成
量子物理学:6時間を上回る記録を達成した量子もつれ
気候科学:化石燃料と気候温暖化の間の地域的な選択
感染症:腸内細菌がClostridium difficile耐性をもたらす
がん:化学療法耐性におけるがん幹細胞の役割
生物物理学:酵素は反応で放出される熱によって拡散する