Nature ハイライト
がん:化学療法耐性におけるがん幹細胞の役割
Nature 517, 7533
最近の研究で、がん幹細胞(CSC)の生存率が化学療法に応じて上昇することが明らかにされた。A Kurtovaたちは、損傷を受けた組織の修復の際に幹細胞が動員されるのと同じように、CSCも化学療法による損傷に応じて活発に増殖するのではないかと考え、検証を試みた。患者由来の異種移植片などによって作製したマウス膀胱がんモデルを使って化学療法サイクルを連続的に行うと、幹細胞様のCK14+細胞の数が増加し、化学療法サイクルの中間となる期間に腫瘍が再増殖することが分かった。この増殖は細胞死を起こした腫瘍細胞から放出されるプロスタグランジンE2(PGE2)により促進され、PGE2によって誘導される損傷修復に似た形で起こる。PGE2中和抗体を併用すれば化学療法耐性は抑制されるので、これは膀胱がんに対する治療戦略候補となると考えられる。
2015年1月8日号の Nature ハイライト
神経科学:コウモリの脳内コンパス
微生物学:酵母を好む腸内細菌
微生物学:グルタチオンシグナルがリステリア菌の病原性を助長する
天文学:S型星における元素合成
量子物理学:6時間を上回る記録を達成した量子もつれ
気候科学:化石燃料と気候温暖化の間の地域的な選択
感染症:腸内細菌がClostridium difficile耐性をもたらす
がん:化学療法耐性におけるがん幹細胞の役割
生物物理学:酵素は反応で放出される熱によって拡散する