Nature ハイライト
天文学:S型星における元素合成
Nature 517, 7533
S Van Eckたちは、進化した恒星23個からなるサンプルから得た高分解能スペクトルを報告している。サンプル中の17個は「S型」星で、これは遅い中性子捕獲過程、すなわちs過程によって重い元素が合成されている赤色巨星である。残り6個は「M型」星で、これも同じような巨星だが、s過程が起こっていない。新しい分光学的なデータと専用の大気モデルを使って、著者たちはテクネチウム、ジルコニウム、ニオブについて正確な存在量を計算した。最先端の恒星進化モデルからの予想と元素合成の計算との比較から、S型星内の合成温度は約2億5000万K未満であることが分かり、s過程の中性子源が炭素13であることが裏付けられた。さらに、重い元素の合成が始まった時期は、わずか100万~300万年前であることが示唆された。
2015年1月8日号の Nature ハイライト
神経科学:コウモリの脳内コンパス
微生物学:酵母を好む腸内細菌
微生物学:グルタチオンシグナルがリステリア菌の病原性を助長する
天文学:S型星における元素合成
量子物理学:6時間を上回る記録を達成した量子もつれ
気候科学:化石燃料と気候温暖化の間の地域的な選択
感染症:腸内細菌がClostridium difficile耐性をもたらす
がん:化学療法耐性におけるがん幹細胞の役割
生物物理学:酵素は反応で放出される熱によって拡散する