Nature ハイライト
化学:結合形成をフェムト秒分解能で可視化する
Nature 518, 7539
原子結合の形成と切断は、化学反応に不可欠な過程である。結合切断の超高速ダイナミクスは、時間分解法を用いて盛んに研究されてきた。しかし、結合形成の構造ダイナミクスの研究は、2分子が関与するというのが主な理由で、非常に難しい。今回、フェムト秒(fs)時間分解X線溶液散乱法を用いて、三量体金錯体[Au(CN)2−]3の形成が可視化された。この実験では、共有結合形成、屈曲型から直線型への遷移、結合の収縮、四量体形成といった個々の反応段階のダイナミクスが、約500 fsの時間分解能で調べられている。著者たちは、サブオングストロームの空間分解能で反応中間体の三次元構造も決定した。結合形成の全過程がフェムト秒の時間分解能で視覚的かつ定量的に追跡されたのは、今回が初めてである。
2015年2月19日号の Nature ハイライト
進化学:ダーウィンフィンチ類のくちばしの進化遺伝学
分子生物学:メディエーターによる転写活性化機構
宇宙物理学:古典新星におけるリチウム生成
化学:結合形成をフェムト秒分解能で可視化する
気候科学:沿岸湧昇に対する気候変動の影響
地球物理学:拡大中心における水によって生じるメルト輸送
神経科学:うまくつながった視覚野ニューロン
細胞生物学:幹細胞における選択的な代謝
化学生物学:触媒力を持つ「XNAザイム」
生化学:Qによって温室効果ガスを液体燃料へ