Nature ハイライト
生化学:Qによって温室効果ガスを液体燃料へ
Nature 518, 7539
「化合物Q(Q)」は、メタン酸化細菌が持つ可溶性メタンモノオキシゲナーゼ(sMMO)系の重要な過渡的中間体である。R Banerjeeたちは今回、その構造を時間分解共鳴ラマン振動分光法を用いて明らかにした。Qは既知のものの中で最強の生物学的酸化剤であり、メタンの極めて安定なC–H結合の開裂を触媒して酸素原子を挿入し、液体燃料となるメタノールを生成する。Qの構造や作用機序の解明がさらに進めば、この酵素を模倣した小型分子を合成して自然発生するメタンをメタノールに変換するのに使うことができ、有害な温室効果ガスを液体燃料や化学製品の重要な供給源に変えられるかもしれない。
2015年2月19日号の Nature ハイライト
進化学:ダーウィンフィンチ類のくちばしの進化遺伝学
分子生物学:メディエーターによる転写活性化機構
宇宙物理学:古典新星におけるリチウム生成
化学:結合形成をフェムト秒分解能で可視化する
気候科学:沿岸湧昇に対する気候変動の影響
地球物理学:拡大中心における水によって生じるメルト輸送
神経科学:うまくつながった視覚野ニューロン
細胞生物学:幹細胞における選択的な代謝
化学生物学:触媒力を持つ「XNAザイム」
生化学:Qによって温室効果ガスを液体燃料へ