Nature ハイライト
宇宙論:超高光度クエーサーが照らす宇宙再電離時代
Nature 518, 7540
宇宙赤方偏移(z)が6と7との間であるということは、銀河間物質が中性状態から完全に電離した状態に至る途中の時代を示している。今回X Wuたちは、z = 6.30に超高光度クエーサーを発見し、その可視光と近赤外領域の光度が、zが6を超える既知のクエーサーの数倍であることを報告している。著者たちは、近赤外領域のスペクトルデータから、このクエーサーが持つブラックホールの質量を太陽質量の約120億倍と見積もった。これは、外向きに働く放射の力と内向きに働く重力は釣り合っているとするエディントン限界の降着率を仮定して導出された、太陽質量の130億倍という値と矛盾しない。この天体は、z = 6の時代を示すことが分かっている最も明るいクエーサーとして、宇宙再電離時代の終わりに大質量ブラックホールの周囲で起こった銀河形成を研究するのに役立つだろう。
2015年2月26日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:膵臓がんと関連する複数の変異
分子生物学:複製に関連したゲノム変化
免疫学:V(D)Jリコンビナーゼの構造
宇宙論:超高光度クエーサーが照らす宇宙再電離時代
量子物理学:1個の光子の2つの状態の量子テレポーテーション
惑星科学:火星の謎のプルーム
進化学:脊椎動物に頭ができるまで
幹細胞:in vivoでの造血を追跡する
分子生物学:N6-メチルアデノシンはRNAとタンパク質の相互作用を変化させる