Nature ハイライト
進化学:脊椎動物に頭ができるまで
Nature 518, 7540
脊椎動物の頭部の起源は、何世紀もの間科学者を悩ませてきた問題である。脊椎動物の頭部は独特の構造をしているが、これに明らかに対応する構造は無脊椎動物には一切存在しない。最初に出現した脊椎動物の頭部骨格は、神経堤に由来するコラーゲン性の細胞性軟骨でできていたと考えられている。神経堤は、中枢神経系の辺縁部から生じる移動性の細胞集団だが、無脊椎の脊索動物には神経堤が存在しないため、頭部軟骨の起源を解明することは困難だった。しかし今回、D Medeirosたちは、薬理学的撹乱や組織学的手法、遺伝子発現を用い、無脊椎の脊索動物であるナメクジウオの変態中の幼生で一時的に形成される組織が、脊椎動物の細胞性軟骨とほとんど変わらないことを明らかにした。このことは、脊椎動物の頭部骨格の出現が、一般に考えられているように新しい骨格組織の進化によったのではなく、頭部全体への細胞性軟骨組織の拡張に依存したことを示唆している。
2015年2月26日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:膵臓がんと関連する複数の変異
分子生物学:複製に関連したゲノム変化
免疫学:V(D)Jリコンビナーゼの構造
宇宙論:超高光度クエーサーが照らす宇宙再電離時代
量子物理学:1個の光子の2つの状態の量子テレポーテーション
惑星科学:火星の謎のプルーム
進化学:脊椎動物に頭ができるまで
幹細胞:in vivoでの造血を追跡する
分子生物学:N6-メチルアデノシンはRNAとタンパク質の相互作用を変化させる