Nature ハイライト
量子物理学:1個の光子の2つの状態の量子テレポーテーション
Nature 518, 7540
量子テレポーテーションと呼ばれる過程では、量子粒子(例えば光子)に符号化した量子情報を、量子粒子自体は動かさずに、1つの場所から他の場所へ移動させる。量子テレポーテーションは多様な系で実証されている。しかし、これまではその全てで、1つの極めて重要な側面に制限がかかっていた。つまり、そうした系では、1つの自由度しかテレポートできないのである。今回、N Liuたちは、単一の光子で2つの自由度、すなわちスピン角運動量と軌道角運動量の量子テレポーテーションを実証した。彼らの実験装置は非常に複雑であり、さまざまな革新的な技術を必要とするが、その中で注目すべきはハイブリッドベル状態測定法である。この測定法の複雑さから、より多くの自由度の、より複雑な量子系の量子テレポーテーションを行うことがどれだけ難しいかがよく分かる。だが、今回の研究はこの方向性での最初の重要な一歩である。
2015年2月26日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:膵臓がんと関連する複数の変異
分子生物学:複製に関連したゲノム変化
免疫学:V(D)Jリコンビナーゼの構造
宇宙論:超高光度クエーサーが照らす宇宙再電離時代
量子物理学:1個の光子の2つの状態の量子テレポーテーション
惑星科学:火星の謎のプルーム
進化学:脊椎動物に頭ができるまで
幹細胞:in vivoでの造血を追跡する
分子生物学:N6-メチルアデノシンはRNAとタンパク質の相互作用を変化させる