Nature ハイライト
分子生物学:N6-メチルアデノシンはRNAとタンパク質の相互作用を変化させる
Nature 518, 7540
N6-メチルアデノシン(m6A)は、多くの真核生物のmRNAや長鎖非コードRNAなどによく見られる内部修飾である。m6Aは、概日リズム、減数分裂、幹細胞の発生など、細胞のさまざまな機能の制御に関わっている。今回、m6AがRNAとタンパク質の相互作用を調節するという、これまで知られていなかった仕組みが明らかになった。T Panたちは、RNA中にあってRNA結合タンパク質(RBP)を対象とする多数の結合モチーフは通常、三次元構造をとった領域中に埋もれていることを明らかにしている。m6A修飾はこのような領域を再編成するスイッチとして働き、構造変化を誘発して結合モチーフを露出させ、RBPの結合を促進する。この知見は、m6AがRNA構造の改造装置として働いて、例えば転写後調節因子の結合活性に関わり、mRNAの成熟に影響を及ぼすことを示している。
2015年2月26日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:膵臓がんと関連する複数の変異
分子生物学:複製に関連したゲノム変化
免疫学:V(D)Jリコンビナーゼの構造
宇宙論:超高光度クエーサーが照らす宇宙再電離時代
量子物理学:1個の光子の2つの状態の量子テレポーテーション
惑星科学:火星の謎のプルーム
進化学:脊椎動物に頭ができるまで
幹細胞:in vivoでの造血を追跡する
分子生物学:N6-メチルアデノシンはRNAとタンパク質の相互作用を変化させる