Nature ハイライト

構造生物学:光で駆動されるNa+ポンプであるKR2の構造

Nature 521, 7550

既知の微生物型ロドプシンは、プロトンを細胞外に輸送する外向きプロトンポンプと塩素イオンを細胞内に輸送する内向きポンプのどちらかに分類されていた。しかし、最近になって見つかった海洋細菌Krokinobacter eikastusに由来するロドプシンは、光駆動型でNa+を輸送する。KR2と命名されたこの新規のタンパク質は、光遺伝学での研究手段となる可能性があるために注目を集めている。それは、このポンプの活性化により、標的細胞のpHや塩素イオン濃度だけでなく、ナトリウムイオン濃度を変化させることができるからである。今回、濡木理(東京大学)たちは、KR2の2つの結晶構造を解き、それを用いてNa+輸送のワーキングモデルを提案している。そして、これらの構造を基にしてKR2の複数の変異体を設計し、遺伝子工学によるK+輸送ポンプの作製に成功している。

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