Nature ハイライト
農業生態学:ネオニコチノイド系殺虫剤に対するハナバチの応答をテスト
Nature 521, 7550
ネオニコチノイド系殺虫剤がハナバチの集団に有害な作用を及ぼすという報告をめぐっては、いまだに意見が分かれている。一部の研究は、非現実的なほど高濃度の殺虫剤が使われたり、実際の野外とはかけ離れた条件で行われていると批判されている。またハナバチには、殺虫剤を感知して殺虫剤処理した植物は避ける能力があるのではないかとも言われている。今回2件の報告によって、これまで知られていなかったことが一部明らかになった。S Kesslerたちは、広く使われる3種類のネオニコチノイド(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)を圃場レベルの濃度で使用した室内実験を行い、ミツバチとマルハナバチがネオニコチノイド類の味を感知できないことを示した。さらに、どちらのハナバチもネオニコチノイド類で処理した食物を避けることをせず、むしろ好んでいる可能性があることが明らかになった。一方、M Rundlöfたちは、クロチアニジンで粉衣したアブラナ種子と粉衣しないアブラナ種子をペアにした反復区画にまいたところ、種子粉衣が野生のハナバチ密度の減少に関連するだけでなく、単独性ハナバチの営巣活動の減少やマルハナバチのコロニー増殖の減少とも関連することを明らかにした。これに対し、ミツバチに対する影響は認められなかった。
2015年5月7日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:オルガノイドを基盤とする、進化中の腫瘍のモデル
構造生物学:光で駆動されるNa+ポンプであるKR2の構造
天文学:若い銀河のクランプ形成
電子工学:金属酸化膜メモリスターに基づく神経形態学的ネットワーク
海洋学:海峡内の内部波実験(IWISE)によって捉えられた海洋中央部の内部波
古生物学:手首を使って飛び立つ恐竜
農業生態学:ネオニコチノイド系殺虫剤に対するハナバチの応答をテスト
がん:変異率の違いを生む主な要因はDNA修復にあった
免疫学:オキサリプラチンに対する腫瘍抵抗性
免疫学:IgG抗体による腫瘍拒絶