Nature ハイライト
免疫学:IgG抗体による腫瘍拒絶
Nature 521, 7550
がんは一般的に宿主の免疫応答を回避するが、腫瘍の個体間での伝播は起こらないことから、免疫系には腫瘍細胞を認識して、殺傷する能力があると考えられる。今回、マウスに移植した同種異系腫瘍の経過についての研究から、腫瘍の拒絶は、腫瘍に結合する自然に生じたIgG抗体によって開始されることが示された。Fcγ受容体が仲介する腫瘍免疫複合体の樹状細胞への取り込みが、腫瘍に反応するT細胞を活性化すること、また、同種異系IgGを樹状細胞アジュバントと共に腫瘍内に注入すると、T細胞が仲介する全身性の抗腫瘍応答が誘導されることが分かった。この研究は腫瘍拒絶の新しい機構を明らかにしており、これは臨床で使える可能性がある。
2015年5月7日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:オルガノイドを基盤とする、進化中の腫瘍のモデル
構造生物学:光で駆動されるNa+ポンプであるKR2の構造
天文学:若い銀河のクランプ形成
電子工学:金属酸化膜メモリスターに基づく神経形態学的ネットワーク
海洋学:海峡内の内部波実験(IWISE)によって捉えられた海洋中央部の内部波
古生物学:手首を使って飛び立つ恐竜
農業生態学:ネオニコチノイド系殺虫剤に対するハナバチの応答をテスト
がん:変異率の違いを生む主な要因はDNA修復にあった
免疫学:オキサリプラチンに対する腫瘍抵抗性
免疫学:IgG抗体による腫瘍拒絶