Nature ハイライト
構造生物学:複製準備OKのMCM複合体
Nature 524, 7564
真核生物でのDNA複製は、細胞周期のG1期にMCM(minichromosome maintenance)タンパク質からなる六量体リングが複製開始点として知られている部位へと結合することで開始される。こうしてできた複合体は休止状態にとどまり、細胞がS期に入ると複製が開始される。開始にはMCMダブル六量体の活性状態への変換が必要とされる。だが、この複合体の構造は知られていなかった。N Gaoたちは今回、低温電子顕微鏡法を用いて、このダブル六量体複合体を可視化して観察し、2つの六量体が組み合わさっていて、その中央に二本鎖DNAにぴったりと適合するチャネルがあることを見いだした。個々のリングの向きから、2つの六量体間に生じる相対的な動きがDNA複製開始点を変形させ、それによってほどけたDNA二重らせんに他の複製タンパク質が結合できるようになるというモデルが考えられている。
2015年8月13日号の Nature ハイライト
構造生物学:GPCR機能の普遍的機構
細胞生物学:肝細胞を新たに作るには
構造生物学:複製準備OKのMCM複合体
宇宙論:宇宙のクモの巣構造の中の巨大円盤
核物理学:検証にかけられたCPT定理
合成:難しい合成を少し簡単に
集団遺伝学:数世代前はネアンデルタール人
細胞生物学:減数分裂をRNAiスクリーニングで調べる
細胞生物学:脂質代謝の肝臓による制御
生化学:新しいタンパク質品質管理機構