Nature ハイライト
細胞生物学:脂質代謝の肝臓による制御
Nature 524, 7564
SREBP1は脂質生合成の重要な転写調節因子である。インスリン刺激を受けると、SREBP1は小胞体からゴルジ体へ輸送され、そこでプロセシングを受けてから、核へと輸送されコレステロールや脂肪酸の合成に関わる遺伝子を誘導する。Y Wangたちは今回、摂食や糖尿病の際にCRTC2(CREB regulated transcription coactivator 2)は肝臓でmTORシグナル伝達のメディエーターとして働き、SREBP1によって制御されている脂質恒常性を調節することを、マウスでの研究によって明らかにした。CRTC2は、COPIIのサブユニットの1つへの結合を競合することでSREBP1のプロセシングと輸送を阻害する。摂食時には、mTORシグナル伝達によってSREBP1のプロセシングに対するCRTC2の作用が阻害される。mTORによる調節を受けない変異型CRTC2を肥満マウスで過剰発現させると、脂質生合成プログラムとインスリン感受性が改善される。
2015年8月13日号の Nature ハイライト
構造生物学:GPCR機能の普遍的機構
細胞生物学:肝細胞を新たに作るには
構造生物学:複製準備OKのMCM複合体
宇宙論:宇宙のクモの巣構造の中の巨大円盤
核物理学:検証にかけられたCPT定理
合成:難しい合成を少し簡単に
集団遺伝学:数世代前はネアンデルタール人
細胞生物学:減数分裂をRNAiスクリーニングで調べる
細胞生物学:脂質代謝の肝臓による制御
生化学:新しいタンパク質品質管理機構