Nature ハイライト

宇宙論:宇宙のクモの巣構造の中の巨大円盤

Nature 524, 7564

最近、電波の弱いクエーサーQSO UM287の近傍に大規模で明るい低温ガスのフィラメントが発見され、宇宙のクモの巣の三次元構造を垣間見ることができた。宇宙のクモの巣は、フィラメントのネットワークであり、フィラメント同士が交差する節の部分に銀河がある。今回、QSO UM287の近傍のフィラメントの二次元分光研究が行われ、このフィラメントの最も明るい放射領域は、回転する広がった水素円盤であり、1013太陽質量の暗黒物質ハローの特徴を示す速度プロファイルを持っていることが分かった。その形状から、低温の降着流の存在が強く示唆される。こうした円盤は、宇宙のクモの巣から形成途上の銀河への低温の降着流のモデルによって予測されている。今回得られた構造によって、銀河形成と銀河間物質や銀河周辺の物質とを結び付ける過程の解明に役立つモデルがもたらされる。

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