Nature ハイライト
植物科学:植物で新しく見つかった防御分子
Nature 525, 7569
植物は、病原体のような環境中の危険因子に対抗するためにさまざまな低分子化合物を合成している。今回、E Sattelyたちは、このような代謝産物のこれまで知られていなかったファミリーをシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)で見つけ、それらを作り出す完全な生合成経路の特徴を明らかにした。このファミリーで見られる重要な代謝産物は4-ヒドロキシインドール-3-カルボニルニトリル(4-OH-ICN)である。面白いことに、4-OH-ICNはシアン化物生成活性を持っており、この活性は植物では前例がなく、自然界でもまれなものである。さらに、4-OH-ICN生合成経路に変異が生じた植物は微生物病原体に対する感受性が上昇するので、4-OH-ICNは植物の病原体に対する免疫を強化しているらしい。4-OH-ICNは、よく研究されているカマレキシンと共に、幅広い抗真菌および抗菌防御の一部として働いていると、著者たちは考えている。
2015年9月17日号の Nature ハイライト
神経科学:シナプスへの光遺伝学的操作を使って記憶を追跡する
プロテオミクス:動物のタンパク質複合体の種をまたいだ解析
分子生物学:脊椎動物におけるDNA複製終結
光物理学:無損失のパリティ–時間対称性
材料科学:高Tc超伝導体の幾何学的形状
環境科学:大気汚染と若年死亡率の関連性
進化遺伝学:表現型可塑性が選択的進化に及ぼす影響
植物科学:植物で新しく見つかった防御分子
がん:グリタゾン系抗糖尿病薬による白血病の治療
分子生物学:細菌におけるDNA複製終結
構造生物学:GTPアーゼであるダイナミンの構造