Nature ハイライト
Cover Story:Bad Karmaを引っこ抜け:アブラヤシの収穫を台無しにしかねないエピジェネティックな形質
Nature 525, 7570
「マントル形成型(mantled)」として知られる花や果実の異常は、農作物であるアブラヤシの、組織培養に由来する栽培品種の一部で生じることがあり、マントル形成型のヤシの実からは油が得られなくなる。マントル形成はエピジェネティックな形質として広く認められているが、これまで十分に説明されてこなかった。M Ong-Abdullahたちは今回、マントル形成型の表現型とエピジェネティックに関連する遺伝子座を探索するため、ゲノム規模でのDNAメチル化不偏解析を行い、あるホメオティック遺伝子のイントロンに埋め込まれた、単一のKarmaファミリーレトロトランスポゾンの低メチル化が全てのマントル形成型クローンに共通であり、この遺伝子の転写産物の異常なスプライシングと終結に関わっていることを見いだした。このメチル化喪失はBad Karma(悪因縁という意味)エピアレルと命名され、アブラヤシの生産性低下が予測できることから、こうした特性によって幼植物体の段階で生産性の高いクローンをスクリーニングすることが可能となる。
2015年9月24日号の Nature ハイライト
心臓生物学:FSTL1が心臓再生を後押しする
構造生物学:毒性のあるα-シヌクレインの構造
構造生物学:43S開始前複合体の詳細な構造
宇宙物理学:明るいサブミリ波銀河の形成モデル
量子物理学:中性子光学における軌道角運動量の制御
有機化学:アルカロイド合成を簡素化する
地球力学:地球で最も長い大陸ホットスポット軌跡
神経科学:育児行動の神経回路
発生生物学:細胞運命の転写後調節
免疫学:微生物相は病気を促進する好中球を調節する
がん:BET阻害剤に対する耐性の出現