Nature ハイライト
構造生物学:毒性のあるα-シヌクレインの構造
Nature 525, 7570
小型のタンパク質α-シヌクレイン(α-syn)は、NACoreと呼ばれる短い領域(アミノ酸残基68~78番)に依存して、パーキンソン病での細胞毒性の原因となるアミロイド凝集体を形成するが、その構造についての情報は得られていなかった。今回D Eisenbergたちは、マイクロ電子回折法(MicroED)という最先端の方法により、小さ過ぎて光学顕微鏡では見ることもできないNACoreナノ結晶の構造を決定した。NACoreは、完全長α-synによって形成され、毒性を示すフィブリル(原繊維)と同じような構造であることが観察された。今回の構造の1.4 Åという分解能は、低温電子顕微鏡法でこれまでに達成された分解能の中で最高であり、またこの研究によって、MicroEDがこれまでに分かっていなかったタンパク質構造を解くのに有効な手法であることが初めて示された。
2015年9月24日号の Nature ハイライト
心臓生物学:FSTL1が心臓再生を後押しする
構造生物学:毒性のあるα-シヌクレインの構造
構造生物学:43S開始前複合体の詳細な構造
宇宙物理学:明るいサブミリ波銀河の形成モデル
量子物理学:中性子光学における軌道角運動量の制御
有機化学:アルカロイド合成を簡素化する
地球力学:地球で最も長い大陸ホットスポット軌跡
神経科学:育児行動の神経回路
発生生物学:細胞運命の転写後調節
免疫学:微生物相は病気を促進する好中球を調節する
がん:BET阻害剤に対する耐性の出現