Nature ハイライト
有機化学:アルカロイド合成を簡素化する
Nature 525, 7570
モルヒネ、キニーネ、コデイン、コカイン、ニコチンなどの窒素を含む天然物は、アルカロイドと呼ばれ、生物学や医学に極めて重要である。しかし、アルカロイド分子を合成し最適化する試みは、窒素の無差別な反応性によって阻まれている。この問題には、保護基を用いて窒素の反応性を抑えて対処することが多い。しかし、こうした保護基を用いる手法では、一般的に反応ステップ数が増えてしまい、合成経路に支障が生じる。今回S Herzonたちは、合成前駆体として含窒素飽和ヘテロ環の代わりに含窒素芳香族ヘテロ環を使うという新たな手法で、複雑な抗HIVアルカロイド、(+)-バツェラジンBを高効率で合成したことを報告している。この合成経路では、含窒素飽和ヘテロ環を用いた場合には実行が困難もしくは不可能と考えられていた重要な変換反応がいくつか使われている。
2015年9月24日号の Nature ハイライト
心臓生物学:FSTL1が心臓再生を後押しする
構造生物学:毒性のあるα-シヌクレインの構造
構造生物学:43S開始前複合体の詳細な構造
宇宙物理学:明るいサブミリ波銀河の形成モデル
量子物理学:中性子光学における軌道角運動量の制御
有機化学:アルカロイド合成を簡素化する
地球力学:地球で最も長い大陸ホットスポット軌跡
神経科学:育児行動の神経回路
発生生物学:細胞運命の転写後調節
免疫学:微生物相は病気を促進する好中球を調節する
がん:BET阻害剤に対する耐性の出現