Nature ハイライト
材料科学:新しいトランジスター技術の実証
Nature 526, 7571
従来のトランジスター技術は、その基本限界に急速に近づいており、次世代の高密度低消費電力チップエレクトロニクスでは、二硫化モリブデン(MoS2)などの二次元半導体材料がシリコンの代わりになると考えられている。特に有望なのは、従来型のシリコントランジスター(MOSFET)とは基本的に異なる方式で動作するバンド間トンネルトランジスターにおける二次元半導体材料の可能性である。しかし、総合特性がシリコントランジスターより優れたそうしたデバイスは、これまでほとんど実証されていない。今回K Banerjeeたちは、活性チャネルとして原子レベルの薄さのMoS2を、ソース電極としてゲルマニウムを使って垂直構造を作ることで、トンネルトランジスターを作製した。このトランジスターは、既存のシリコントランジスターより優れたターンオン特性と低消費電力動作を示した。今回の結果は、超高感度バイオセンサー、ガスセンサー、そして低消費電力集積回路など、さまざまな電子回路用途で興味深いと考えられる。
2015年10月1日号の Nature ハイライト
材料科学:マグネシウムの構造特性を高める方法
ゲノミクス:健康な状態と疾患におけるゲノムの多様性
材料科学:新しいトランジスター技術の実証
生物無機化学:ニトロゲナーゼの作用の化学合成モデル
地形学:氷河侵食に影響を及ぼす要因
ゲノム進化学:歯のエナメル質の起源を示す化石魚類からの手掛かり
ナノ生物工学:生体を模倣した新しいナノ送達システムプラットフォーム
ウイルス学:インフルエンザウイルスのエアロゾルによる伝播
幹細胞:骨髄幹細胞のマーカー
がん:腫瘍転移における幹細胞様細胞
微生物学:ウイルスの抗CRISPRタンパク質の特徴