Nature ハイライト
生物無機化学:ニトロゲナーゼの作用の化学合成モデル
Nature 526, 7571
一部の微生物中に見られるニトロゲナーゼは、大気中の窒素を室温でアンモニアに変換できる。これは、工業的な窒素肥料製造に用いられる窒素固定過程に、高い温度と高い圧力が必要であるのと全く対照的である。ニトロゲナーゼには、大気中N2を硫黄が豊富な鉄–モリブデンクラスターであるFeMo補因子の部位で還元するものがあるが、その正確な分子機構はまだ分かっていない。今回P Hollandたちは、FeMo補因子作用の有力なモデルについて報告している。著者たちは、硫黄豊富な配位圏を持つ合成錯体が、還元によってFe–S結合を切断してN2と結合することを示した。その生成物は、初めて報告される合成Fe–N2錯体であり、鉄が硫黄原子と炭素原子と結合しているというFeMo補因子の配位の重要な特徴を持つ。
2015年10月1日号の Nature ハイライト
材料科学:マグネシウムの構造特性を高める方法
ゲノミクス:健康な状態と疾患におけるゲノムの多様性
材料科学:新しいトランジスター技術の実証
生物無機化学:ニトロゲナーゼの作用の化学合成モデル
地形学:氷河侵食に影響を及ぼす要因
ゲノム進化学:歯のエナメル質の起源を示す化石魚類からの手掛かり
ナノ生物工学:生体を模倣した新しいナノ送達システムプラットフォーム
ウイルス学:インフルエンザウイルスのエアロゾルによる伝播
幹細胞:骨髄幹細胞のマーカー
がん:腫瘍転移における幹細胞様細胞
微生物学:ウイルスの抗CRISPRタンパク質の特徴