Nature ハイライト
構造生物学:ヒトGLUT3の構造
Nature 526, 7573
SLC2ファミリーのグルコース輸送体(GLUT)は、グルコースなどの単糖類の生体膜を通過する輸送を促進する。GLUT3は神経細胞で主に機能しているため、「神経細胞グルコース輸送体」として知られているが、精子や着床前胚、循環中の白血球細胞でのグルコース取り込みにも必要とされる。今回、ヒトGLUT3について、細胞の外側に向いた開状態のコンホメーションと、やはり外向きだが閉状態のコンホメーションのX線結晶構造が解かれた。さらに、このタンパク質のD-グルコース存在下での高分解能構造も解かれ、α-D-グルコースとβ-D-グルコースの両方との結合が可能になる仕組みが解明された。今回新たに得られた構造と、これらとは異なるコンホメーションにあるヒトGLUT1の以前に報告された構造との比較から、この膜タンパク質が1回の輸送サイクル中にどのように再配列を起こすのかを示すモデルが考えられた。
2015年10月15日号の Nature ハイライト
進化生態学:中生代の哺乳類化石に保存された軟部組織
学習と記憶:学習と連関する雄特異的ニューロン
構造生物学:ヒトGLUT3の構造
構造生物学:フルクトース輸送体GLUT5の構造
核物理学:競合する二重ガンマ崩壊
量子情報:シリコンCNOT論理ゲート
気候科学:将来の南極の氷と海水準
社会進化学:他者の富が見えると協力行動が損なわれる
神経疾患:レット症候群での脳深部刺激
計算神経科学:小脳プルキンエ細胞の視覚への関与