Nature ハイライト
気候科学:将来の南極の氷と海水準
Nature 526, 7573
南極氷床が海水準上昇に将来及ぼす寄与は極めて大きくなる可能性があるが、計算上の制約もあってまだ非常に不確実である。N Golledgeたちは今回、温暖化する気候における南極氷床についてシミュレーションを千年スケールで行って、海洋が約0.5°C温暖化し、大気が2.0°C温暖化すると、南極縁辺の棚氷の大半が崩壊し、海洋への氷床の運動が加速する可能性が高いことを示している。大きな方法論的不確実性は残っているものの、今回のシミュレーションで得られた南極の氷の減少に起因する海水準上昇は、2300年までに約0.1~3 m、5000年までに0.4~9 mと、幅がある。海水準の見積もりに大きな幅があるのは、方法論的不確実性の大きさと温室効果ガスの潜在排出量の幅が広いことの両方を反映している。
2015年10月15日号の Nature ハイライト
進化生態学:中生代の哺乳類化石に保存された軟部組織
学習と記憶:学習と連関する雄特異的ニューロン
構造生物学:ヒトGLUT3の構造
構造生物学:フルクトース輸送体GLUT5の構造
核物理学:競合する二重ガンマ崩壊
量子情報:シリコンCNOT論理ゲート
気候科学:将来の南極の氷と海水準
社会進化学:他者の富が見えると協力行動が損なわれる
神経疾患:レット症候群での脳深部刺激
計算神経科学:小脳プルキンエ細胞の視覚への関与