Nature ハイライト
構造生物学:フルクトース輸送体GLUT5の構造
Nature 526, 7573
SLC2ファミリーのグルコース輸送体(GLUT)は、グルコースをはじめとする単糖類が生体膜を通過するのを促進する。GLUT5はフルクトースに特異的で、2型糖尿病や肥満といった疾患に関連があり、ある種の腫瘍細胞ではこれが過剰に発現されている。今回、野村紀通(京都大学)たちは、ラット由来GLUT5の細胞の外側に向いた開状態のコンホメーションと、ウシ由来GLUT5の内向きで開状態のコンホメーションについてX線結晶構造を解明した。これらの構造と、大腸菌(Escherichia coli)由来で近縁のプロトン共役型糖輸送体XylEの以前に報告された構造との比較から、GLUT5による輸送は「ロッカースイッチ」型の輸送機構と「ゲートで開閉する小孔」型の機構の両方によって制御されていると考えられる。
2015年10月15日号の Nature ハイライト
進化生態学:中生代の哺乳類化石に保存された軟部組織
学習と記憶:学習と連関する雄特異的ニューロン
構造生物学:ヒトGLUT3の構造
構造生物学:フルクトース輸送体GLUT5の構造
核物理学:競合する二重ガンマ崩壊
量子情報:シリコンCNOT論理ゲート
気候科学:将来の南極の氷と海水準
社会進化学:他者の富が見えると協力行動が損なわれる
神経疾患:レット症候群での脳深部刺激
計算神経科学:小脳プルキンエ細胞の視覚への関与